欧州最大のレアアース鉱床、スウェーデンで発見 中国依存の低下なるか
携帯電話などの電子機器やミサイルにも使用されるレアアース(希土類)の鉱床がスウェーデンで見つかった。ヨーロッパ最大とされる。同国が12日、発表した。
スウェーデンの最北部でレアアース100万トン以上が発見されたと伝えられている。
ヨーロッパでは現在、レアアースは採掘されていない。欧州連合(EU)で2021年に使われたレアアースのうち、98%近くは中国から輸入されたものだった。
今回の鉱床の発見は、脱炭素社会を目指す「グリーン移行」の点でも「決定的」な意味をもつとみられている。電気自動車や風力発電タービンの製造で、レアアースの需要が増すとみられているからだ。
スウェーデンのエバ・ブッシュ・エネルギー相は12日の記者会見で、今回の発見を、EUの中国への依存度を下げるものだと称賛。「これらの素材を(EUは)あまりに他国に依存している」とし、変革が必要だと訴えた。
そして、「電化、EUの自給自足、ロシアや中国からの独立は、この鉱床から始まる」と強調した。
「石油やガスより重要になる」
レアアースは、17種類の元素の総称。携帯電話、ハードディスク、電車など、さまざまな製品やインフラに使われており、日常生活での重要度が増している。
また、風力発電タービンや電気自動車などのグリーンテクノロジーにとっても重要だ。ミサイル誘導システムのような軍事機器にも不可欠となっている。
2030年までに需要は現在の5倍に膨らむとみられている。
EUのティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は昨年、「リチウムとレアアースは近いうち、石油やガスより重要になる」との見方を示した。
アメリカの試算では、レアアースの世界全体の埋蔵量は1億2000万トンとされる。これに照らすと、スウェーデンでの発見はごくわずかだ。
レアアースの採掘は困難で、環境を破壊する恐れもある。
スウェーデン国営の鉱業会社LKABのヤン・モストロム最高経営責任者(CEO)は、新たに発見された鉱物が市場に出回るのは10~15年後かもしれないと述べた。環境リスク評価を実施するため、許認可プロセスには時間がかかるとされる。
モストロム氏は「ヨーロッパでこの種の鉱物の採掘を増やす」ため、当局に許認可を早めるよう求めた。