2022.01.10
ノーベル賞受賞の「重力波初検出」 その意外な舞台裏!
怪しいよねぇ!? と研究者が言った理由宇宙物理学の様々な謎に挑む新しい天文学「マルチメッセンジャー天文学」。この幕開けともいえる重力波の初検出には、2017年のノーベル物理学賞が贈られました。その現場に立ち会った研究者が語る、意外な裏話とは!
なんか怪しいよね!?
私にとってのマルチメッセンジャー天文学が始まったのは、2015年9月16日のことでした。日本時間14時40分、重力波観測装置LIGO、Virgoのメンバーから一通のメールが届いたのです。
そこには「2015年9月14日に重力波が観測された」と書かれており、重力波の到来方向を示した「地図」(図1)が添えられていました。
図1 GW150914の到来方向を表すスカイマップ’(LIGO/Axel Mellinger)
このメールを受け取ったとき、私はある研究会に参加していました。すぐさま隣にいた共同研究者と小声で「なんか怪しいけどやるしかないよねぇ」というような会話をしたのを覚えています。
今思うとこれは歴史的瞬間だったのですが、とにかく「怪しかった」のです。